私もクラスもあと一週間。来週の金曜日が卒業式なので、いよいよという空気がクラス内にも広まっている。
生徒達も無事に進学先が決まって一安心。・・・中には残念ながら希望通りとはいかなかった子もいたけれど、人生はまだまだこれからなのだから挽回のチャンスはいくらでもある。また、それだけが人生じゃないと思う。
「先生~」
放課後、先日告白したいと相談してきた女の子が笑顔でやってきた。
「告白してよかったです。私のことを好きだって言ってくれました」
そうか、OKしたのね。でも学校が違うとなると、これからどうするのかな?
「とりあえず、毎朝駅まで一緒に行く約束をしました。それだったら学校が違っても関係ないでしょ」
「そうね。でも、今をもっと大事にしたほうがいいんじゃないの?今日は一緒に帰らないの?」
「今日は塾があるからって先に帰ったんですよ」
入試は終わったのにまだ塾に・・・小学生も大変ね。
「ねえ、先生って彼氏がいるんですか?」
ええっ?・・・何だかそのうちそんな展開になりそうなことは予測できていたけどね。
「いるわよ」
「どんな人ですか?」
どんな人・・・ねえ。
「とても楽しい人よ。いつも私を笑わせてくれるの」
「その人カッコイイ?」
「・・・カッコイイわよ。でも外見だけじゃなくて、私を守ってくれるところがカッコイイのよ」
「ふ~ん、正義の味方なんですね」
「そう。男の人は強くないとね」
「その人と結婚するんですか?」
「そのうちできればいいと思っているわ」
「じゃあ、結婚式に招待してくれますか?先生綺麗だろうなぁ~」
え~?それはどうかな?まだどんな式になるか分からないから、その気持ちだけでもありがたく受け取っておかないと。それから、子どもたちの夢を壊さないようにもしないとね。