3/12 (土) 23:30 気分転換

明日はいよいよ投票日。でも僕にはおかげさまで政治以外の仕事依頼もやってくるので、この機会に受けることにした。たまには気分を変えないと。

まずその1は、ある画家の展覧会のオープニングセレモニー出席。僕が音楽好きだというのはみんなが知っていることだけど、僕としてはもっといろんな芸術に触れたいと思っている。だからこういう仕事は歓迎・・・というか、仕事だとはあまり思っていない。凄く丁寧に作品の解説までしていただけるから、逆にありがたい。

次は、ある経営者と対談をしながらの昼食会。彼は新進気鋭の経営者として、都内にいくつものレストランをオープンさせているやり手青年・・・とはいえ、僕よりも少しだけ年上だけど。食に興味がある僕としては、おいしいものを食べられつつ、経済界の情報を得ることができるので、嬉しすぎる。

「殿下はいつもどのような食事をされていますか?」

「朝はしっかりいただきますが、その後は不規則ですね。移動中に済ませてしまうことがあったり、逆に正式な晩餐会では手の込んだ料理をいただいたり。これはあまり誉められたものではありませんね」

「仕事のせいで不規則になってしまうのはよくあることです。おそらく殿下には、食事に関して気を配ってくださる方がついていらっしゃるのではないかと思いますが・・・」

「はい、その通りです」

「一般の人ではなかなかそうはいきません。ですから私のレストランでは、家庭料理の素朴さを出しつつも、おしゃれに楽しんでいただける空間とメニュー作りに力を入れています。・・・殿下も家庭料理が恋しくなられたりしませんか?」

「私は自分で料理するのが好きですから、恋しくなったときにはそうします。食事に時間と予算をかけることは贅沢なことですよね」

・・・僕は出来るだけ隙を作らないようにしている。仕事をしているときは皇太子なのだから、プライベートなことにはできるだけ触れられないようにしたい。でもだからと言って表と裏を作るようなことがあってはならないから、そのさじ加減が難しいのだけど。

それから・・・、いくつか他にも仕事をこなした後、夜はテレビ局で打ち合わせ。・・・テレビ局というところには危険が多い。うまく終えられそうだと思いきや、

「話は変わりますが、殿下のご結婚が近いというのは本当ですか?」

・・・いや別に、話を変えなくてもいいから。まったく。

「私としては周囲を驚かせるのが好きなほうですから、それに協力してくださいませんか。発表できる時が参りましたら、それなりの取り計らいはさせていただきますので」

表情はにこやかに、でも目で釘を刺しておく。

でも、外の空気はおいしいね。また明日頑張ろう。

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