4/13 (水) 16:00 情報収集

でも若菜のほうは、積極的に情報を集めて私のことを構ってくれる。・・・今日は昨日とは違う学食で、

「兼古先輩って演劇部なんだって。それで去年は全国大会で二位まで行ったっていうから、カッコイイだけじゃなくて、実力も相当なものみたい。ただね・・・その演劇部の部長っていうのが兼古先輩の彼女らしいの。・・・凄く大人っぽくて綺麗な人なんだって」

ふ~ん。ちなみに明日は新入生歓迎会があって、そこで演劇部が公演をするという話は昨日聞いていた。全国で二位というのなら、本格的ね。

「それでね、演劇部にはもう一人、2年の沢渡先輩っていうこれまたカッコイイ人がいるんだって。男の人なのに髪が腰まであって、凄くミステリアスな人らしいよ」

髪が腰まで・・・、それって似合ってるのかな?

「で、演劇部は毎年凄い人気で、今年もオーディションがあるんだって。それに受からないと入部できないみたい」

ふ~ん、でもそんな話をされても私には関係ない。華やかなところは苦手なんだって。確かに兼古先輩はカッコいいけど、縁のない人だから。

「それで、若菜はオーディション受けるの?」

「受けたいよ。ダメでもともと。近くで見れるだけでもいいし」

「演劇の経験は?」

「まるっきりない」

・・・そういうの、迷惑扱いされておしまいなんじゃないの?でもそっか、明日の新入生歓迎会は、楽しみにしていていいということなのね。

折角なので、放課後は若菜に付き合ってあちこちの部活を見学しに行ってみた。・・・けど、若菜は活動内容がどうこうよりも、カッコイイ人を見つけたいだけみたい。

「マネージャーになるっていう手もあるよね。テニス部の人、結構カッコイイよ」

「ねえ、それで仕事が務まるの?」

「まあ、そう言わず。カッコイイ人が一人でもいれば、どんなことにだって耐えられるよ」

「今までに彼氏いた?」

う~ん、と数え始める彼女。

「ちゃんと付き合ったのは、まだ三人かな?深雪は?」

うわっ・・・聞かないで。墓穴を掘ってしまったみたい。もちろん、彼氏なんていたことない。

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