4/28 (木) 13:00 水面下でのバトル

やっぱり彼女には天賦の才能があるみたい。カメラの前に立つとすんなり役に入ってくれて、滞りなく撮影が進んでいる。その様子には2年生全員がビックリしたわけで、逆に口をはさみ過ぎないようにと思ったくらいだった。

そして今日も昼休みには打ち合わせを、と思っていたら、同級生の女の子たちに行く手を阻まれてしまった。

「何処に行くのよ」

「沢渡くんと朝霧くんのところよ。今日の部活のことで話しておきたいことがあるから」

・・・私はこんな子たちには負けないわ。

「やめたほうがいいわよ。抜け駆けすると、どこかの誰かから痛い目に遭わされるみたいだから、気をつけたほうがいいんじゃない?」

はぁ?抜け駆けも何も・・・、私は別に沢渡くんに対して恋愛感情なんて抱いていないし、一体全体どこかの誰かって誰よ?

「あなたのことを心配して言ってあげてるのよ。こんな学食みたいな目立つ場所で会うのはよくないわ。最近は、3年生もマークしているみたいよ」

だから、その意味がよく分からないんだけど?同じ部活のメンバーなのに話してはいけないっていうの?

「あのね、心配してくれるのは嬉しいけれど、緊急の用件があるの。それを妨げてくれたりなんかしたら、沢渡くんの気分を害することになるんじゃない?私なんかをライバル視してくれなくていいから、ね」

ああ、もう煩わしい。そして私は急いで食事を受け取り、沢渡くんたちのテーブルへと向かう。・・・こんなこと絶対におかしい。入学当初は逆に沢渡くんを見下していたくらいなのに、最近、特に1年生が入ってきてからは、みんなが牽制し合って抜け駆けさせないようにするくらい、沢渡くんを祀り上げている・・・意味が分からない。

「ごめんなさい。何か変なのに捕まってしまって」

「ウソ、大丈夫だった?」

沢渡くんは私が座る様子を見届けた後、学食の隅に目を光らせた。

「僕としては、今は3年生がいないからより攻撃的になるんじゃないかと思っていたんだけど、そうではないみたいだね。でも僕のせいで迷惑をかけていることには変わりがない。本当にごめん」

より陰湿な感じになっているということかな?・・・にしても、そうやって頭を下げてもらったりすると、また誰かが見ていて私の身が危険になるかもしれないのに。

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