7/2 (土) 23:30 It’s over

今まで毎週会っていたこの時間、今日からは一人だ、と思っていたのに、有紗さんから呼び出しを受けた。彼女にはあの夜以来会っていない。僕は彼女に謝ってもらいたくなかった、だって僕は、これぐらいされても当然の仕打ちをしたのだから。

宮殿のハーブ園で。彼女はじっとしていられなかったようで、僕が入っていくとすぐさま近づいてきた。

「ごめんなさい、私・・・」

「謝らないでください。僕たちはお互い痛み分けて、もう終わりになったんです。僕のことは忘れてください。それだけを言いたくてここに来ました」

待って希。予想通り、背後から呼び止める声がする。

「だったら私にも言わせてよ。私は希のことがこれからも好き」

・・・どうしてそういうことを言うんですか。僕はこの間、有紗さんよりも好きな人ができたと素直に伝えた。目が見えない間看病してくれたことには感謝している、でもその間にも気持ちは変わらなかった。僕のために尽くしてくれたのに、僕は別の女の子のことを考えていた。それに一方的に別れを切り出したのだ、僕のことを恨んで当然だろう、なのに、どうしてそういうことを言うんですか。・・・あ、逆にそうやって、僕の心に傷をつけようとしているんですか。

「僕には有紗さんの気持ちが分からずじまいでした。好きだと言ってくれる割には僕を見てくれなかったり、その気持ちに応えさせてくれなかったり。結局僕と向き合ってくれないままだったじゃないですか。だから、これ以上付き合っても意味がないと思います。・・・そうでしょう?」

「違うの、希。私は!」

しかし有紗さんは、そう言ったきり次の言葉を飲み込んでしまった。・・・沈黙が流れる。でも僕は、言い訳があるなら聞いておきたいと思った。何がどこでどう間違ってしまったのか、この恋から得たことはたくさんあるようで・・・意外と身をすり減らしてしまっただけかもしれない。

「何が違うんですか」

それでも答えは得られず、彼女はただ涙に暮れていただけだった。僕ははっきりと有紗さんのことが嫌いになったわけではない。それゆえ、この沈黙にはこれ以上耐えられないと思った。

さようなら、と心の中で呟いて、足早にハーブ園を後にする。何を言おうとしたのだろう。・・・僕だけのせいじゃない。僕はよい関係を築こうと精一杯努力したじゃないか。もう十分だ。

ターボリフトのドアが閉まると、僕はずるずると壁を伝って床に座り込んでしまった。・・・初めての恋が終わったのだ。

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