7/7 (木) 13:00 ランチデート

昼休み、購買でサンドウィッチを買って部室に行くと、すでに部長、兼古先輩、沢渡先輩、朝霧先輩、村野先輩がいた。

「遅くなってすみません」

「いいよ。1年生が一番遠いからな。・・・ほら、行っていいぞ」

兼古先輩は沢渡先輩を追い払うように手を振り、私はベランダを伝って隣の教室に行く先輩についていった。・・・ホントに二人きり。どうしよう。

「盲点だったね。昼休みは危険だと思い込んでいたけど、先輩に協力してもらったおかげで、逆に安全になった。有意義な時間を過ごせて嬉しいよ」

先輩は本当に忙しいらしく、このところ電話をしてくれない。ただそれでもメールをくれるようになったので、毎朝起きるのが楽しみになっている。いや、それでも、

「先輩あまり寝てないんじゃないですか?いつも凄く遅い時間にメールが入ってますし」

「僕の周りにはもっと寝てない人がたくさんいるし、その中で僕は一番若いわけだから頑張らないと。それに、僕としてもまだまだ余裕はあるから、心配しなくていいよ」

私とは桁違いに凄い先輩が更に頑張らなきゃいけないって言ってるなんて、・・・自分が恥ずかしい。

「先輩の目標って何ですか?」

「今はまだあまり遠くを見すぎないようにしている。与えられた仕事をきちんとこなして、着実にステップアップすることだね。周囲の期待は大きいけど、もちろん、期待以上のことはしたいと思っているよ」

先輩の言葉は、住んでいる世界は違うけれど、私にも当てはまる。今の私は、与えられた役をきちんとこなすこと、先輩との連弾を成功させることだけを考えなきゃ。・・・でも大きく違うところがある。

「その自信はどこから来るんですか?」

言うと、先輩は、ん?と首を傾げた。

「自信があるとかないとか考えるだけの余裕がないよ。今は本当に仕事をこなすだけで精一杯なんだ。うまくできなくて怒られることもよくあるけど、まだ若いんだからしょうがないよ。ただ、同じミスを繰り返さないようにはしてる。指摘されたことはしっかり受け止めて、それを跳ね返すエネルギーに変換する。・・・僕は負けず嫌いなんだよ。それが僕の原動力になってるんじゃないかな?そして、もし、こんな僕に自信があるように見えるんだったら、それは光栄だね。虚勢を張らないと、僕の世界ではやっていけないからね」

・・・その姿は偽物ってことですか?

「深雪は自分に正直なんだよ。それが凄く危なっかしく見えるけど、逆に羨ましくも見える。・・・かわいい」

あの・・・そうやって私のことを見つめないでくれませんか?それに弱いんですけど。

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