7/20 (水) 16:00 侮辱

議会は大揉めに揉め、議場内が騒然としてしまったために、一旦休会となった。・・・こういうとき、発言者としては王宮派でありながらも、皇太子としてはできるだけ中立の立場で、議会を円滑に進めなくてはならない。・・・こんな無様な様子をこれ以上国民のみなさんにはお見せできない。

僕は議員の控え室を回った。

「議会は議論を戦わせる場です。野次を飛ばしたり、余計な行動をしたりして、議論を妨げるのはおやめください。おっしゃりたいことがあるのなら、ルールに従って発言してください」

・・・でもあくまでも、感情的にならずに冷静に。

「あの、折角の機会ですので、直接殿下に申し上げたいことがあるのですが」

すると、3期議員を務めていらっしゃる方が立ち上がって、僕に声をかけた。

「何でしょうか」

「殿下、最近顔色が優れません。ゆっくりお休みなられてはいかがでしょうか?」

え?と思い反射的に顔に手を当てる。・・・いや、いいとは言えないけれど、悪くもないはず。

「私のことならご心配には及びません。忙しいのは事実ですが、もともと私は色白ですから、そのように見えるだけだと思います」

そうですか?と他の議員の方々も次々と僕の様子をうかがう。・・・いや、だから、ドクターの診察もこまめに受けているし、大丈夫なんですけど。・・・これは作戦かもしれない。そうやって僕を排除しようとしているのでは。

「それでも尚心配してくださるのでしたら、議会が円滑に進行するようにご協力ください。よろしくお願いします」

僕は笑顔を作って一礼し、執務室へと戻った。・・・とにかく頭に来ていた。僕のことを馬鹿にして。

「おい響、どこに行ってたんだ?」

「ねえ結城、僕の顔色はどう見える?」

「顔色?・・・興奮してて赤いな」

違う、そうではなくて!・・・聞いた僕が馬鹿だったか。そう思ったら何だか少し気が抜けた。

「もう少し日焼けしたほうがいいのかな?」

「はあ?お前どうかしたのか?陽に当たっても赤くなるだけだろうが。・・・余計なことにエネルギーを使わなくていい」

まあそうなんだけど。・・・言いたい人には言わせておけばいいか。

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