昨日はビックリした。先輩から電話がかかってきた！というだけでドキドキするのに、殿下とまでお話しさせていただくことになるなんて。しかも、宮殿に来てほしいだなんて、どんな服を着ていったらいいのか全然分からない。
“別に気負う必要なんてないよ。僕の家に招待するみたいなものだから、気楽に来て。服も別に･･･この間のデートのときみたいな感じだったら全然問題ない、どころかとてもかわいかったし！ただ昨日も言ったけど、ご両親にはまだ内緒にしててね、近々僕が直接お話しさせていただこうと思っているから”
うわ～、緊張する。先輩が、パパに何て挨拶するのか･･･「お付き合いさせていただいています」とか言うのかな？恥ずかしい。それでなくても、先輩のことを彼氏だと思うこと自体、まだまだ抵抗があるんだけど。
“ねえ、舞い上がってない？”
「はい？･･･ええ、かなり」
おかげで何も言えなくなってた。
“この間も言ったけど、物凄く深雪に会いたいんだよ。だからあんまり僕をあおらないで”
え～！！会いたい気持ちは私も同じです･･･けど、そんなことを言ったら、先輩に迷惑がかかっちゃう？
「先輩は今、何をしてるんですか？」
“今？･･･帰ってきてから、いろいろとバタバタしてて大変だよ。でも明日は深雪と会えるんだと思うと頑張れる。それまでに出来るだけ仕事を片付けて、一緒の時間を多く過ごせるようにするからね”
先輩･･･。私なんか、毎日暇でゴロゴロしてるだけ。何だか申し訳ない。私に出来ることは･･･。
「お仕事頑張ってくださいい。私も早く会いたいです」
“ありがとう、元気が出たよ。明日会えるのを楽しみにしているからね･･･おやすみ”
「おやすみなさい」
電話は切れた。･･･先輩に会うのは一週間ぶり。とにかく最近は、気づくといつも先輩のことばかり考えていて、メールを読み返してみたり、あの優しい話し方を思い出してみたりしている。そのときに思い浮かべるのは、素敵な笑顔。クリウスでは笑わないことで有名なのだけど、部活のときはそんなことないし、この間のデートのときは･･･常にニコニコしていた。何だかその笑顔が眩しいと感じてしまうくらいに。
･･･ううん、こんな風にのんびりしてる場合じゃない。一応明日の予定は、午後に宮殿からお迎えの車が来て、話を聞いた後、殿下も交えて食事することになっている。私、テーブルマナーは大丈夫かな？だって先輩はいつも食べ方がとても綺麗で、私なんかがとても真似できないような感じなんだもん。･･･殿下に嫌われちゃったらどうしよう？先輩まで悪く言われることにならないかな？それに、明日着ていく服がまだ決まらない！どうしよう。