8/16 (火) 20:00 写真撮影

大喜びしたのは仲野さんで・・・、

「女の子がクラクラするような、美しい悪魔に変身させていただきます!」

と、メイク中にもいろいろなアイディアを出してきてくれたのだけど、今日の仕事も大事なんですよ!僕が表舞台に出るにあたって、名刺代わりとなる写真を撮影してもらうのだ。

「今日もいい男だな」

メイクが終わり目を開けると、鏡越しに見ていたらしい結城が、ヘアメイクを崩さないようにそっと抱きしめる。・・・だから人前ではやめてって。

まずは、ダークなスーツで椅子に腰掛ける。カメラマンは以前殿下が紹介してくださった鷲塚さんで、それ以来定期的に写真を撮っていただき、撮られ方の研究をしてきた。

室内には朝霧が演奏するヴァイオリンの曲が流れているので、リラックスした気分のままでいられる。公式写真ということで身体の動きが必要なわけではないが、その分、表情、特に目線、眼力に気をつけて、いろいろなポーズを作る。

正直に言うと、以前は自然な表情がなかなか作れなかった。学校ではクールビューティーなどと言われているらしいが、それはやっぱり警戒心が強いからだと思う。もう傷つきたくない、そのためには周りとはあまり関わらないほうがいい・・・と。でも演劇をするようになって、また大切な女性に出逢って、信頼できる人たちの前では、自然と感情を表に出すことができるようになってきた。今はもう大丈夫、安らげる場所を見つけることができたから。

次は立って、そしてスーツを替えて、数パターンの写真を撮った。

「すまないが、最後に俺も入れてくれない?」

え?結城も?・・・そう言えば、結城と一緒に写真を撮ったことなんてなかった。これはいい記念になるかも。

終わってからパソコンで確認をしてみると、どれも綺麗に撮れていたので、安心した。

「沢渡くん、今度は悪魔に扮するんだって?ぜひ撮らせてほしいんだけど、どうかな?」

あの・・・、その情報はどこから漏れたんですか?

「被写体としては抜群だからね、もっといろんな写真を撮りたいよ。公にはできないものもね」

それはどういう・・・。

「俺も、もっといろんな沢渡が見てみたいな」

そして頬にキス・・・。みなさん、ちょっとおかしくないですか?僕は政治家なんですよ、誤解なさらぬように。

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