9/2 (金) 5:00 毎朝新聞朝刊記事

16歳の沢渡氏、財務長官に就任

宮殿にて、江口国王陛下から、沢渡希氏を財務長官、同時に次期皇太子に任命する旨が発表された。沢渡氏は現在、クリウス学園高等学校に通う高校2年生。陛下自ら選抜され幼稚園卒園と共に入宮、英才教育を受けつつ実務にも携わってきた。この春からは本格的に財務長官の引き継ぎ作業にかかり、王宮主催の行事にも参加してきたという。家族は、両親、兄の4人、趣味はピアノ。学校では演劇部に所属し、全国大会で優勝した。

――沢渡氏がこの時期に就任することになった経緯は。

陛下:彼は優秀でいつでも就任できる状況にありましたが、学業との兼ね合いについては私共の間でも意見が分かれておりました。しかし、彼の友人でもある楽士の朝霧くんがヴァイオリンのコンクールで優勝し、新学期にはマスコミがクリウスに詰めかけることが予想されたため、この機会に就任させることにしました。

――具体的にはどのような教育を行ってきたのか。

陛下:内容は通常の入宮者研修とさほど変わりませんが、教育係がマンツーマンでつき、また数回外国に留学をさせました。ただ同年代との交流が少なかったことと、本人からの希望により、現在は一般の高校に通わせています。

――今後も若年者の教育は行うのか。

陛下:当面は予定していません。今回は私の責任で行いましたが、沢渡くんのケースからいくつもの課題が出てきましたので、難しいと言わざるを得ません。

――具体的にはどのような問題があったのか。

陛下:やはりご家族から引き離したことが最大の問題でした。この場を借りて、ご家族にはお詫びを申し上げます。

――学校生活はどうか。

沢渡:当初は驚くことばかりで戸惑いましたが、実際の現場ではどのように教育が行われているのか、また普通の高校生がどのように考え行動するのかを知ることができるので、とても有意義だと感じています。特に演劇との出逢いは私を大きく変えてくれました。陛下や殿下にも喜んでいただいています。

陛下:先日のコンクールでは、大いに泣かせていただきましたよ。

――殿下との関係は。

沢渡:殿下のことは大変尊敬しております。仕事を厳しく教えていただく一方で、時には兄のように優しく接していただいております。演劇を勧めてくださったのも殿下でした。また去年の誕生日にピアノをプレゼントしていただいたので、殿下のリクエストにはいつでもお応えしています。

――財務長官としての抱負は。

沢渡:国民の皆様からいただいている税金ですから、有意義に使わせていただくことを第一に考えています。少しでも無駄をなくし、合理的に活用するように、しかし一方で文化的な活動も盛んになるようにしていきたいです。

――学業との両立は可能なのか。

沢渡:今後は今までより学校に行く日数が減るかもしれませんが、高校生であることも仕事に活かしたいので、できるだけ両立させたいです。こういう時には若さは武器になると思います。誰にとっても初めてのことですから、これからどのような事態が起こるのかを予測することは難しいですが、皆様の期待をいい意味で裏切ることができるくらい頑張りますので、よろしくお願いいたします。

 

響殿下の談話

彼は仕事を的確にこなす一方で柔軟な発想も持っているので、私としても驚かされることが多々あります。彼が我が国の政治に新たな風を吹き込んでくれることは間違いありません。このたびやっと表舞台に立つことになったことを、大変喜ばしく思っています。

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