「じゃあ沢渡くん、4日間よろしくね」
議会後のオフは、まだ沢渡くんが新長官に就任してバタバタしていることもあっていつもよりは控えめになった。でもオフとはいえ、来月に控えた結婚の儀のための準備があれこれあり、今回は宮殿から遠くない場所で過ごすことになった。・・・まあそれはそれでいいか。
そして向かったのは医療室。結婚前に体のメンテナンスをしておくように、とのありがたいんだかありがたくないんだかよく分からないお達しをもらい、今日一日は人間ドックを受けることになっている。
「議会で疲れ切っているのに、いい数値が出るわけないよ。せめて、オフの最終日にできなかったの?」
「何をおっしゃいますか、殿下。普段通りの生活の中で検査していただかないと、本来の数値が見えてこないではありませんか」
「もう、たまにはゆっくり寝かせてよ。今日は珍しくよく寝てたのに、起こしに来るんだから」
「・・・いつもオフの初日はすぐに起きていらっしゃるので、今日にさせていただいたのです。申し訳ありません」
宮殿には一つの町ほどの数の人々が住んでいるため、医療室という名前になっているものの病院のような規模の設備が整っていて、それ故舞とは別行動で竹内を伴ってドックを受けている。以前よりは格段に睡眠の質と量は充実していると言えるが、それでもまだ、完全に薬を手放せるようになったわけではない。
「お待たせいたしました。次はMRI検査です」
はい。・・・でも横になったら寝てしまいそうだ。どこからか急に眠気が襲ってきた。
「殿下?」
竹内が呼ぶ声が、フェードアウトしていく。