オフだけど、結婚の儀と披露宴のための衣装の最終打ち合わせと、写真撮影があった。
「このまま部屋に連れ帰ってもいいですか?凄く綺麗だから」
「おやめください、殿下!当日までは何があってもお汚しになりませんようにお願いします」
KZが焦って言っていたけど、・・・本当に舞のドレス姿は綺麗で、惚れ直してしまった。
「結婚の儀が待ち遠しいよ。カラードレスも似合っていたけど、やっぱり白の礼服が一番そそられた」
「もう・・・何の話をしているのよ、不謹慎ね。あの礼服を着ると身が引き締まる思いがするわ、と同時に、汚さないようにとヒヤヒヤする」
「何だよ、舞のほうこそ、そんなに現実的なことを言わないでよ。それよりも、当日は笑顔でいてほしいな。圧倒的にそっちのほうが大事だよ。折角綺麗な衣装に身を包んでも、晴れやかな笑顔じゃないと舞自身が映えないから」
「・・・どうかな、こればっかりは当日になってみないと分からない。・・・けど、胸がいっぱいになりそう」
「別にご両親と会えなくなるわけじゃないし、やっと結婚できるわけだから笑顔で決まりでしょ?」
「ううん、・・・幸せすぎて泣けるかもしれないよ」
そんなに嬉しいことを言ってくれないでよ。・・・このオフが終わったら、舞は結婚の儀まで自宅で過ごす。だから今夜を逃せばしばらくはお預けというわけで・・・舞の肩を抱き寄せる。
「いつ頃から結婚したいと思ってた?」
「いつ頃からかな?・・・昔は、仕事でトラブルが起きたとき、早くここから連れ出してほしいと思ってた。でもその頃の貴くんは、仕事が手一杯で、明らかに結婚のことなんて意識してなさそうだったから、頑張って乗り切ることにして・・・、でもそのうち、結婚は逃げ場じゃないって思うようにはなった。だって貴くんは皇太子になっちゃったんだもん、普通の仕事が務まらないのに皇太子妃が務まるわけないじゃない?・・・だから仕事に対して自信を持てたときかな?わりと最近だよ。・・・貴くんは?」
「僕のことをいつまでも待ってる、って言ってくれたときかな?そして一人前になったらプロポーズをしようと思っていた。でもその一人前がどの段階になったらなのか、までは考えていなかったんだけど、運良く皇太子になれたからね、もう文句はないだろうって思ったよ」
「そうなんだ、じゃあ貴くんの方が先に思っててくれたんだね。・・・その間、浮気はどのくらいした?」
何を言い出すんだ?いきなり。
「でもほら、付き合いたいって思う人と、結婚したい人は別だから、それとこれとは関係ないよ」
「またうまく逃げたね」
・・・いやいや、王宮の仕事は本当に忙しいから、浮気する暇なんてないって。