10/7 (金) 22:00 彼に会うために

明日はデート、だけどその前にできるだけテスト勉強を進めておかないと、折角のデートが勉強だけで終わってしまう。

某有名大学に通っている先生が、私の家庭教師。・・・彼は、何で男なんだよ、と言っているけど、急にやめてもらうのもどうかということで、そのまま続行中。

「深雪ちゃんが沢渡長官と付き合ってるっていうのは、本当なの?」

・・・先生とは、あまり立ち入った話をしないようにしている。あくまでも勉強の時間だから。

「はい、そうです」

「勉強を見てもらったりすることはあるの?」

「1学期の期末のとき数学がピンチで助けてもらいましたけど、できるだけ自力で何とかするようにと言われています。たまにしか会えないのに時間を無駄にしたくないからということで」

・・・そうか、期末の数学がよかったのは長官のおかげだったのか、とうなだれる先生。

「でも前までは何に対してもやる気が起こらなくて、嫌いな数学だったら尚更端から拒絶してましたけど、今は違います。分かるようになりたい、解けるようになりたいって思うようになったんですよ。だから先生、しっかりご指導をお願いします」

「了解。頑張って長官を驚かせようね」

はい。

ここ数日、周りの様子が変わってきたように思う。2、3年生の反応は分かるにしても、1年生の反応が何だかおかしい。最初は羨ましいという感じで彼のことをあれこれ聞いてくる子が多かったのに、最近は近寄ってすら来ない。言うなれば無視。つまり、私が彼と付き合っていることを認めていないのかもしれないと思うようになった。

確かに、もし私が凄く好きな人が他の人と付き合っていたとしたら、その光景は見たくないと思う。何かの間違いであってほしいと思う。どうせすぐ別れてしまうだろう、なんて思いたくなる。だからみんなも、私のことを見て見ぬフリする作戦に出てきたんじゃないかと思う。

彼は私のことを認めてくれていて、尊敬してる、だなんて言ってくれたこともある。でも周りの人は、私みたいな何の変哲もない子は釣り合わないと思っているに違いない。

だからもっと認められたい。彼に見合うだけの力はないけど、できるだけ彼に近づきたいし、周りの人からもお似合いのカップルだと思われたい。そのための第一歩が成績アップ。少しでも成績を上げて、頑張ってるんだってところを見てもらいたい。ただ「会いたい」って言ってるだけじゃ、わがままな恋人くらいにしか思われないだろうから。

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