10/20 (木) 14:00 同盟

結婚して最初の出勤日。まずは朝一で、休んでいた間の報告を受ける。その順番は・・・学校があるから、沢渡くんに一番に来てもらった。

一通りの業務報告の後で、

「一応ご報告いたしますが、モーリス殿下に大変かわいがっていただきました」

は?・・・さてはアイツ、僕たちが相手をしてあげなかったものだから、ターゲットを沢渡くんに変更したな。

「迷惑な時はそう言ったほうがいいよ。アイツはすぐに調子に乗るから」

「いえ、とんでもありません。楽しくお話しさせていただきました」

「別に無理しなくていいからね。あと、深雪ちゃんのアドレスだけは絶対に知られないように・・・、そうだ、深雪ちゃんは大丈夫?加害者の子はどうなっているの?」

「深雪は休まず学校に行っていますが、首にはまだ少々痕が残っているらしく、スカーフで隠しているみたいです。加害者の林田さんは二週間の停学になりました。理由も公表されたので、おそらく今後深雪に近づく女の子たちは出てこないものと思われます」

・・・理由も公表したのか、思い切ったことをしたね。

「分かったよ。じゃあ、学校に行って深雪ちゃんに会ってきなさい、それが深雪ちゃんへの一番の薬だよ」

「はい、ですがその前に、結婚の儀直前のお忙しい中深雪を見舞ってくださり、ありがとうございました。おかげで彼女の傷口もそう開かずに済んだのだと思います。舞さんにもよろしくお伝えください」

ううん、大したことないよ。僕よりも舞だよ。「深雪ちゃんの気持ちが分かるのは私だけだから」と言って、できるだけついていてくれた・・・まさか、僕と付き合うことで何かトラブルに見舞われたわけでは?

午後からは初めて舞と一緒に視察に出かけた。その道中で聞いてみると、

「何もなかったと言ったら嘘になるわね。貴くんはよくモテたから、嫉妬されることは日常茶飯事だった」

・・・そんなこと、全然気づかなかった。

「だって貴くんはマイペースで我が道を行く人だからね。それに私も、別に大したことじゃないと思っていたから」

大したことじゃない?

「貴くんは私のことだけを見ててくれたから、それで十分だった。みんなに優しいように見えて、ちゃんと私のことだけは特別扱いしてくれていたからね」

そう?そう思っていてくれるの?確かに高校の頃は舞のことしか見えていなかったけれど、特別扱いしていたかな?・・・自然とそうできていたのかな?

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