オフ最終日。今日ばかりは誰にも邪魔をされず、お互いのことだけを思いながらのんびりと時間を過ごすつもりだ。このところ行事が立て続けにあり忙しかったから、結婚したのだという実感がイマイチ湧いてこない。
新しい部屋は、舞の意見も取り入れてまずは収納が充実した作りになっている。引っ越しの時にかなり荷物を処分したつもりだったけれど、頂き物が多いため、すぐさま荷物で溢れてしまうに違いない・・・こういうところは沢渡くんを見習いたい。彼はシンプル好きで、なおかつ片付け上手。彼が今の部屋に移って半年になるが、未だに彼の部屋はモデルルームのように生活感がないままだ。
また、裸足が好きな僕のために、肌触りがいい床材、そして・・・来るべき日のために、予備室が二部屋ついている。・・・舞に、「この部屋には絶対荷物を入れないこと!」と釘を刺されているが、実際にこの部屋を使うことになるのはいつかな?
「舞、散歩に行こう」
「そう言い出すんじゃないかと思ったわ。貴くんがじっとしていられるはずがないよね」
・・・読まれていたか。当初は一日部屋から出ずに過ごそうと思っていたのだけど、天気がいいし、心地よい風に当たりたい。
僕たちは、首都の中にある公園を歩くことにした。
「舞は、みんなと話していて違和感を感じなかった?」
これが、昨夜からずっと気になっていたことだった。
「そんなことなかったよ。高校のときの話とか、男性の話とかで盛り上がったよ」
そうだよね、僕もそうなると思っていた。
「でも、みんなそれぞれに生活が違うわけだから、気になることが違ってもしょうがないんじゃないの?貴くんは仕事のときに集中しすぎるあまり、普段は仕事のことは考えたくない、それは貴くんのスタイルなんだから、他の人と違ってようが関係ないと思うけど」
「その代わり、気が合う友達は大切にしたほうがいい、というわけか」
「そうそう。貴くんには祐一くんっていういい友達がいるんだから、それで十分なんじゃないの?それに、普通だったら、何としても皇太子とお近づきになりたいと思うものじゃないの?でも彼らはそういうよこしまな考えを持っているわけではないんだから、それはそれでいい同級生を持ったとも言えるし」
うん、そうだ。僕が彼らから離れただけで、追い出されたわけじゃない。彼らの多くは、今は仕事だけに夢中になっている。でも、それがどうしたというのだ?僕には僕の大切なものがあるんだ、他人と比べてもしょうがない。
・・・あ、また、新婚らしからぬ話をしているな。