10/23 (日) 21:30 プレゼント

今日は沢渡くんの部屋でプチパーティーが行われる。僕たちの他、結城と沢渡くん、そして朝霧くんが集まるのだけど、ピアノがある部屋となると自ずとここになる。

「改めて、ご結婚おめでとうございます」

と、沢渡くんと朝霧くんが、僕たちにプレゼントをくれた。

「物凄く気が早いのですが、赤ちゃんのおもちゃです。よかったら使ってください」

「そんな、物凄くだなんてことないよ。僕たちは子どもがほしいから、使える日を楽しみにしているよ」

恥ずかしそうに小突いてくる舞の様子に、・・・でも、二人きりで過ごす時間がもう少しあったほうがいいかもしれない、とも思う。

沢渡くん、そして朝霧くんの演奏があり、僕は披露宴のときに弾いてくれた曲をリクエストした。優しい木漏れ日のような曲・・・僕たちが作ろうとしている家庭の理想像がここにあるような気がした。やはり家庭内には安らぎを求めたい。陛下や沢渡くんのお宅のようにはしたくない。プライベートが充実していれば、それだけいい仕事ができると思うから。

素敵な演奏に心からの拍手を送っていると、彼らがソファーセットにやってきて腰を下ろした。

「素晴らしかったよ、ありがとう」

「実は。・・・朝霧の試験勉強が大変で、あまり練習ができなかったのですが、本番ではうまくいってよかったです。・・・殿下、指輪を見せていただいてもよろしいですか?」

あ、これ?いつも沢渡くんがほしがる母の形見のリングではなく、結婚指輪のことだね。

「裏に文字を刻んでいらっしゃるとか?」

「そうだよ。でもそれは内緒」

婚約指輪、結婚指輪ともKZに作っていただいたのだけど、今まであまりアクセサリーはプレゼントしたことがなかった。

「女性はアクセサリーをプレゼントされると嬉しいものですか?」

「はい。もらった数が少ない分、大事にしますしね」

・・・もっといっぱいほしかった?

「毎年何かもらっているって友達もいたけど、私はそんなにほしいとは思わないかな?数とか値段ではなくて、気持ちの問題でしょ?」

「じゃあ、今までで一番嬉しかったプレゼントは何でしたか?」

そうね~、と考える舞。

「やっぱり、この王宮のカーフピアスですね。一緒に生きていけるんだって思えて嬉しかったですよ」

そうだったんだ。沢渡くん、いいことを聞いてくれたね。・・・深雪ちゃんへの参考にするつもりかな?

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