10/29 (土) 19:30 打ち合わせ

基本的に、仕事は週末に回している。コンクール後の取材などがひとまず落ち着いたことと、先日のテスト前の状況から、授業にはきちんと出るようにと言われたことから。

今日は、アルバムの収録曲についての打ち合わせがある。・・・実はまだ迷っているので、いくつかの案を用意してきた。

「オリジナルをやっていくつもりはあるんですか?」

いきなり聞かれて戸惑った。

「沢渡長官のために書かれた『HOPE』は、大変評判がいいですよね。他にもストックがあればぜひ聴かせてほしいんですけど」

そ、そうですか?実はないこともない。今年の沢渡の誕生日にも曲を贈ろうと思っていくつか作曲していたし、殿下と舞さんをイメージして書いたものもある。ただ、コンクール前後はクラシックに徹していたので、最近の新作はない。

とりあえず、携帯プレーヤーに入れていた曲をいくつか聴いてもらう。これらの曲はパソコンを使ってサンプリングしたもので、クラシックではなくイージーリスニングのジャンルに入る曲たちだ。

「凄くいいじゃないですか。何曲か収録しましょうよ」

「でも、クラシックのコンクールで優勝した僕のファーストアルバムですから、クラシックで勝負したいんですけど」

沢渡からのアドバイスを押し出す。

「でも朝霧さんは、ここまで育ててくれた周りの人への感謝の気持ちを込めたい、とも言ってくれましたよね」

あ・・・。リリース時期は冬。沢渡の誕生プレゼントにもなる、と。悩むなあ。

「少し考えさせていただいてもいいですか?ただ、僕が絶対に譲れない5曲は必ず収録していただきたいのですが」

いくつかの案を提示した紙のうちの一枚を指差す。

「この5曲は私のほうも賛成です。それで私としては全体の3割か思い切って半分くらいオリジナル曲を入れたいと思っているんですよね。折角今までクラシックに縁がなかった人まで取り込んだのですから、クラシックはきちんとやりつつも、今までになかったジャンルを目指していけば、それは朝霧さんにしか作り得ない世界観であり、朝霧さんの個性にもなると思うんですよね」

「それについては、僕も真剣に考えています。ただ、いきなりオリジナルをたくさん入れてしまっては、元からのクラシックファンから敬遠されることになるのではないか、ということが心配なのです。・・・僕のルーツはやはりクラシックです。オリジナルは3割にとどめてください。またできるだけクラシカルなアレンジにさせてください」

僕が持っているイメージの輪郭が急にはっきりしてきた。後は相手を納得させればいいんだ。それにはやはり聴いてもらうことが一番!ということで、早速宮殿に帰って作業に取りかかることにする。

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