10/30 (日) 22:00 ヴァイオリニストとしての自覚

楽士としての仕事もあるので、午前中はオケのリハーサルに行ってきた。・・・しかし最近ソリストとして演奏することが多いから、感覚が少し鈍っていて困った。別にオケは嫌いではないし、楽士の中にも話をする相手はいるけれど、基本的に演奏家の養成機関だからライバル意識が強い。だから今日の僕の演奏に対しても、コンクールで優勝して調子に乗っているという、冷ややかな視線が浴びせかけられたのを感じた。・・・悔しい。

しかし、午後には取材があったためそのまま移動。練習したくてたまらない気分なのに、どうすることもできない。そんなときに、

「朝霧さんの演奏は心に染みます。どうしたら人の心を動かせるような演奏ができるんですか?」

なんて聞かれても、とても素直に答えられない。

そもそも、元はと言えば僕がいけないのだ。ヴァイオリンしか取り柄のない僕がそれを否定されてしまったらどう生きていけばいい?・・・ヴァイオリンの技術を磨くためには、日々の練習と、自己コントロールを続けるしかない。

部屋に帰って来るなり、ケースを開けてヴァイオリンを構える。そしてとりあえず、オケの曲を練習する。今まであんなに練習したのだから、少し離れたくらいでその勘が鈍ることなんてないはずだ。

自分の曲を発表するにしても、それ以前にテクニックや表現力を磨くことは重要だ。それなくしては、僕の世界観を伝えることができない。やっと僕は演奏家としての第一歩を踏み出すことができたのに、何事も中途半端なままではすぐさま忘れられてしまうだろう。まずは与えられたことをきちんとこなす・・・ヴァイオリンはもちろんのこと、学業も部活も・・・恋愛のことは後回しでいい。沢渡は何もかもきちんとやっている、だから僕もきちんとしないと・・・。

数時間練習したら、気持ちが少し落ち着いた。その上で、僕のアルバムのことを考える。

昨夜の作業で、いくつかのメロディーを曲として仕上げた。全体的に明るく前向きで心が温まるタイプの曲をそろえたい、というコンセプトも固まった。それで行くと、僕のオリジナル曲は1/3、昨年の沢渡の誕生日のために書いた「HOPE」、実は今年の誕生日にと書いた「やすらぎ」、両殿下の結婚をお祝いして書いた「Symphony」、そして僕が初めて書いた曲・・・。

そしてクラシックのほうも、これらのイメージに合い、なおかつ思い入れのある曲をピックアップしてリストに挙げ、オリジナル曲を添付してディレクターに送る。まずは聴いて喜んでもらえるようなアルバムにしたい。殿下や沢渡が僕の演奏で和んでくれることが、今のところは一番嬉しい。だから、みなさんの部屋でも、夜に聴くと一日の疲れがとれるようなそんなアルバムにしたい。

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