11/17 (木) 17:00 生徒会長対面

放課後、制服のままイストにお邪魔しに行った。一般の学生には内緒のため、早川と副会長にこっそり手引きしてもらい生徒会室に入ったが・・・あれ?他の役員も大勢いるのかと思いきや、誰もいなかった。僕のほうは、Web担当者を連れてきたので2対2。・・・ちなみに彼はイスト出身者である。

早速、事の経緯を担当者が説明する。

「確かに、学内のサーバーを利用していますね。・・・犯人を突き止めることはそう難しくないと思います。判明しましたら直ちに除籍することを考えておりますので、手続きが終わり次第報告させていただきます。たびたびご迷惑をおかけして、申し訳ありません」

副会長共々立ち上がって一礼された。・・・同じ学生でありながら除籍にできるだなんて、生徒会長には強い権限が与えられているんだな。

「今回お伺いしましたのは、この事件のことだけでなく、クリウスへのライバル心を煽りすぎているのではないかということを伝えるためでもあります。・・・早川くんは、入宮を希望しているんですよね。僕の仕事をどう評価していますか」

一瞬にしてひるんだ早川。それで一応、論文を読んだという話はしておいた。

「沢渡長官のおかげで多くの人が政治に興味を持つようになったと思います。しかし、財務長官としての働きぶりは、来年の議会で予算案が審議されるまでは何とも言えません」

・・・僕のことを否定しなかったな。

「それよりも、生徒会長としての務めを果たしているのかが気になります。学校には毎日行かれているのですか?」

そう来たか。

「週の半分くらいしか登校できていませんが、学内の情報は常に役員から報告を受けていますので、ご心配なく。折角なので、役員同士で会食する席を設けてみても面白いかもしれませんね。その折にはぜひクリウスにご招待させていただきますが、いかがでしょうか?」

すると早川は、副会長と顔を見合わせて苦笑した。

「あの、勘違いしていただくと困るのですが、僕は別にクリウスと良い関係を築く必要はないと思います。ご迷惑をおかけしたことには謝罪いたしますが、それ以上の接点は持たなくてもいいのではないですか?校風が全く違う学校だということはつまり、学生たちの気質も相容れないということです。それがわざわざ歩み寄ったところで、何のメリットがあるというのですか?」

今度はこっちのほうが苦笑する番だ。

「早川くんはクリウスにいらしたことがあるのですか?」

「ありませんが、何か?」

「よく知りもしないで勝手に決めつけられるのはいかがなものでしょうか。入宮を考えている早川くんなら、将来的に僕と仕事をする可能性について考えていてもいいのではありませんか?」

敵情を視察するチャンスをあげているのにな、これに乗ってこないような男は取るに足りないヤツでしかない。

「少々考えさせてください。僕がクリウスに近づいていることを知られると、業務に支障を来しますので」

・・・そうか。早川自身よりも周りをとるわけか。

そういう事情だからか、僕がイストを見学したいと言っても叶えられなかった。制服で来たのがまずかったか。

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