希を起こす都合上、冬休みとは言え毎日早起きな私。希は6時半起き。そして今日もなかなか電話に出ない。
“・・・・・・”
「希、おはよう。愛してるよ」
うわっ、恥ずかしい!ということで電話を切る私。・・・でも、まだ起きていなかったらどうしよう。普通ならかけ直してくること間違いなしだけど、まだ鳴らない。ただの間違い電話だと思ってたりしたら!?もう一回かけようかな。
プルルルル・・・。プルルルル・・・。
“はい”
「希、おはよう。さっき私が何て言ったか分かる?」
“え?さっき?・・・”
うわ、やっぱり、聞こえていなかったパターン!?・・・凄く残念。でもしょうがないよね。昨夜寝たのも遅かったわけだし。
「そっか、覚えてないならしょうがないね。いいよ、気にしないで。今日も一日お仕事頑張ってね」
“ちょっと待て、み・・・”
はぁー。一応起きたみたいだし、私の任務は完了。・・・朝から二度も言えるくらいの勇気はまだない。
すると今度は、私の携帯が鳴った。発信元は、沢渡希。
「はい、もしもし」
“ゴメンって。俺の寝起きが悪いのはお前も知ってるだろうが。こんな気持ちのまま仕事に行きたくないよ。どうしたら許してくれる?”
折角のチャンスだけど、会いに来てだなんて、とても言えない。希は忙しい人だから。・・・だったら逆に、
「会いに行かせてくれないかな?私には時間があるから」
といっても、王宮人の家族ですら宮殿にはなかなか入れないって言ってたし・・・。でも私は二度も入れてもらったんだけど・・・。っていうか、この間行ったばかりじゃない。わがままだよね、私。
“いい考えだな”
ホント!?
“ただ、俺の一存では返事ができないから、ちょっと相談する。・・・でも俺のことを嫌いになったりしないかな?舞台裏はあんまり綺麗なものじゃないよ”
「そんな!私が希のことを嫌いになったりするはずないじゃない!」
“そうか?だったら、前向きに検討するよ。電話ありがとう”
「うん、頑張って」
何か凄いこと言っちゃったね、私。どうなるんだろう?