3/23 (木) 16:00 今できること

希がテレビのインタビューで笑顔を見せたことは、私にとっては嬉しいことだったけど、怖いことにもなった。ネット上で、私の正体を暴こうとする投稿が活発になったからだ。

”メディアやネットには圧力をかけてるから、直接深雪に被害が及ぶことはないと思うけど、行動には気をつけて。僕のせいでごめん”

今日もモーニングコールをしたときも、希はそう言っていた。それで登下校には王宮からの車が来てくれることになったし、ウチの親に対しても警護がついているという。

しかし、クリウスの空気は外とは違う。端から相手にしない作戦なのだ。

それは二種類ある。一つは、最初から私の存在など認めない、どうせすぐ飽きるだろう、と思っているタイプ。そしてもう一つは、希と私の様子を見ているいるから、今更気にしないタイプ。まぁ、少なくとも演劇部の人たちはみんな私たちの味方なので、それだけでも十分だと思うことにしている。

明日が終業式ということで、今日の授業は午前中だけだった。そして午後は部活の時間。希は今日は来ていない。でも、希がいないと何もできないと思われなくないので、いつも以上に頑張っているつもり。

「沢渡くんは、本番までにあと何回来れるんだっけ?」

「明日は終業式だけと言ってましたし、次は4月に入ってからになるかもしれません」

「まあ校内向けのイベントだし、今の感じで行けば大丈夫だとは思うけど…。ううん、沢渡くんに頼りっきりになるわけにはいかないわよね。それに、ウチの部には、朝霧くんという世界一のヴァイオリニストもいるし」

ちなみに、先日リリースされた1stアルバムは大好評で、朝霧先輩がメディアに出ているのもよく見かける。そして、朝霧先輩も今日は来ていない。

「石井くん、沢渡くんの代役をやって。少なくとも進捗状況を伝えておけば、一緒に集まれる時間が少なくても、本番までに仕上げられる!」

「はい。わかりました」

ということで、休憩は終了。「校則ゼロ革命」に向けての準備を続けることにする。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です