1/20 (金) 22:00 距離

家に帰ってきてから議会中継を見て、内容を理解しようと努めている。希が頑張っているのに、その希が頑張ろうとしている内容を理解できないなんて、彼女として失格だと思う。少しでも希に近づきたい。希と同じ景色を見てみたい。

…それにしても、希ってカッコイイな。財務長官として、さまざまな財政に関する質問にテキパキと答えていく。あらかじめしっかり準備しているのだろう、少しも動じずに、落ち着いたトーンで、分かりやすく答えている。付け入る隙は全く与えない。 Continue reading “1/20 (金) 22:00 距離”

1/19 (木) 13:00 笑顔

議会が開会。さすがに今日は授業があったので、とりあえず休み時間にニュースサイトで希の様子を見てみたら、眼鏡をかけていた…。もしかしたら、目の調子が悪いとか?これからそのモードで行くとか?でも顔色はいいし、記事をよく読んでみたら、何やらいきなりズバッと先制攻撃をしたらしいし。

「うわ~、メガネ姿の沢渡先輩もカッコイイね」

「でも、何かますます近寄りがたくなっちゃうよね。もう学校に来てくれないのかな?」 Continue reading “1/19 (木) 13:00 笑顔”

1/18 (水) 11:00 不安

まだメッセージを送っても「既読」がつかない。考えるまでもなく忙しいよね…。

昨日国葬の会場でも感じたように、とてつもない距離を感じている。あの場にいたのはごく一部の人でしかなくて、本当はもっともっと多くの人たち、ホーンスタッドだけではなく、世界の人々の期待を背負って立つ人になる。そんな凄い人の時間を、私のために割いてもらおうとは思わない。 Continue reading “1/18 (水) 11:00 不安”

1/17 (火) 15:00 国葬

「沢渡くん、想像してたより穏やかな顔してるわね」

「そうだな、俺なんかまだ信じられないよ。例のごとくひょっこり登場されそうだもん」

先輩方も同じように思っているみたい。いや、誰もがそう思っているに違いない。会場の前方に掲げられている、響殿下と舞さんのご遺影を見ても、これが葬儀だなんて考えられない。 Continue reading “1/17 (火) 15:00 国葬”

1/16 (月) 19:00 やるせない気持ち

未だに信じられない。先日も、希の誕生日のときにご一緒させていただいた両殿下が、お亡くなりになるなんて。しかも、新婚旅行からお戻りになる途中でだなんて…。

響殿下はそれこそ王子様のようで、いつも素敵で、テレビの中で拝見するだけで胸がいっぱいになる、別世界の方だと思っていたのに、何故か今ではお知り合いになることができて、年明けにも、新年の挨拶メールをいただいてしまった。そして舞妃殿下も、私が怪我をして宮殿で治療していただいたときに話をしに来てくださり、とても気さくで優しい印象を受けた。 Continue reading “1/16 (月) 19:00 やるせない気持ち”

1/15 (日) 23:00 決意

実は、プライベート用の携帯電話を見ていない。多分、深雪を始め、先輩方からも連絡が入っているだろうとは思うのだけど、見てしまったらまた泣いてしまいそうで。

深雪も悲しんでいるに違いないし、僕のことを心配してくれているに違いない。だけど、構ってあげられるだけの心の余裕がない。 Continue reading “1/15 (日) 23:00 決意”

1/14 (土) 1:00 自覚

そういうわけで、今日は結城が僕の部屋に泊まってくれることになった。いつもなら、僕が結城の部屋に行くのだけど、今は殿下のピアノがあるここの方が、この状況を打破するためにはいい。

「結城、ピアノの練習に付き合って。…僕が取り乱したら、落ち着かせてくれる?」

「だから、そんなに無理して弾かなくてもいいって」 Continue reading “1/14 (土) 1:00 自覚”

1/13 (金) 19:30 ピアノの調べ

両殿下の国葬は17日、皇太子の即位の儀は18日に、そして元々16日に開会予定だった議会は、19日からということになった。即位に向けての準備が着々と進んでいるが、その前に殿下の国葬で、朝霧と一緒に、殿下がお好きだった曲を演奏することになった。正直あまりにも思い出が多すぎて、演奏することができるかどうか心配だけど、朝霧がいてくれれば何とかなるような気がして、お願いした。 Continue reading “1/13 (金) 19:30 ピアノの調べ”

1/12 (木) 16:00 お土産

結城が帰ってきた。

「悪いな、大事なときにそばにいてやれなくて。でも責任を持って、響と舞さんを連れ帰ってきたぞ」

両殿下のご遺体は損傷が激しく、現地で荼毘に付されたとのことだった。そして、僕に小さな箱を差し出す。

「響の妹さんから、やはりお前に持っていてほしいということで、預かってきた」 Continue reading “1/12 (木) 16:00 お土産”