希ってば…。思い出すだけで、恥ずかしくなってしまう。まさか学校であんなことを…。
“大部分は、しばらく会いに行けていなかった俺のせいだけど、お前のせいでもあるぞ。最近やたら不安定で、会っても何も言ってくれないし、とりあえず落ち着かせることが先決だと思ったんだ」 Continue reading “1/26 (木) 23:00 提案”
小説の部屋
希ってば…。思い出すだけで、恥ずかしくなってしまう。まさか学校であんなことを…。
“大部分は、しばらく会いに行けていなかった俺のせいだけど、お前のせいでもあるぞ。最近やたら不安定で、会っても何も言ってくれないし、とりあえず落ち着かせることが先決だと思ったんだ」 Continue reading “1/26 (木) 23:00 提案”
学校は早くも中間テスト前。今月になってから全然登校できていなかったこともあって、今日は朝から学校に来た。…一番の目的は、深雪に会うことだけど。
僕は皇太子に即位したけど、事情が事情だけに、世間は浮かれモードではない。よって、クラスメイトにも、授業がどこまで進んでいるかを聞いたり、生徒会の役員には不在中にあったことなどを聞いたり、淡々と午前中を過ごした。そして待ちに待った昼休み! Continue reading “1/25 (水) 12:00 昼休みの逢瀬”
…何かが鳴っている。…電話か?
「はい、もしもし」
“希?…寝てた?”
深雪か?…もう朝なのか?…いや、ソファーで寝てしまっていたようだ、って、まだ夜中じゃないか。 Continue reading “1/24 (火) 3:00 不安”
「何か落ち着いたな、お前。深雪ちゃんのおかげか」
仕事の合間に、結城が楽しそうに言った。…結城や加藤の作戦は見事に成功したわけだ。
「僕が取り乱している場合ではないって、よく分かった。今は深雪のほうが心配だよ。両殿下のことも、まだ受け止め切れていないようだし」
「それで、学校のことなんだが…」 Continue reading “1/23 (月) 17:00 精神安定剤”
時間を割いた、と加藤が言ったので、今日は束の間の逢瀬か、と思いきや、大胆にもレストランでの夕食を組み込んでくれていたので驚いた。…それほどまでに疲れているように見えたのかな。
ほぼ予定通りに個室に入ると、黒いワンピースを着た深雪が、今にも泣き出しそうな顔で僕を見上げた。 Continue reading “1/22 (日) 19:00 ぬくもり”
「おはようございます」
「うん、おはよう」
カーテンを開くボタンを押していた加藤は、驚いたように振り向いた。
「起きていらしたんですね。深雪さんにお願いされたのですか?」
家に帰ってきてから議会中継を見て、内容を理解しようと努めている。希が頑張っているのに、その希が頑張ろうとしている内容を理解できないなんて、彼女として失格だと思う。少しでも希に近づきたい。希と同じ景色を見てみたい。
…それにしても、希ってカッコイイな。財務長官として、さまざまな財政に関する質問にテキパキと答えていく。あらかじめしっかり準備しているのだろう、少しも動じずに、落ち着いたトーンで、分かりやすく答えている。付け入る隙は全く与えない。 Continue reading “1/20 (金) 22:00 距離”
議会が開会。さすがに今日は授業があったので、とりあえず休み時間にニュースサイトで希の様子を見てみたら、眼鏡をかけていた…。もしかしたら、目の調子が悪いとか?これからそのモードで行くとか?でも顔色はいいし、記事をよく読んでみたら、何やらいきなりズバッと先制攻撃をしたらしいし。
「うわ~、メガネ姿の沢渡先輩もカッコイイね」
「でも、何かますます近寄りがたくなっちゃうよね。もう学校に来てくれないのかな?」 Continue reading “1/19 (木) 13:00 笑顔”
まだメッセージを送っても「既読」がつかない。考えるまでもなく忙しいよね…。
昨日国葬の会場でも感じたように、とてつもない距離を感じている。あの場にいたのはごく一部の人でしかなくて、本当はもっともっと多くの人たち、ホーンスタッドだけではなく、世界の人々の期待を背負って立つ人になる。そんな凄い人の時間を、私のために割いてもらおうとは思わない。 Continue reading “1/18 (水) 11:00 不安”
「沢渡くん、想像してたより穏やかな顔してるわね」
「そうだな、俺なんかまだ信じられないよ。例のごとくひょっこり登場されそうだもん」
先輩方も同じように思っているみたい。いや、誰もがそう思っているに違いない。会場の前方に掲げられている、響殿下と舞さんのご遺影を見ても、これが葬儀だなんて考えられない。 Continue reading “1/17 (火) 15:00 国葬”