今日は日曜日だけど、深雪の誕生日に休みを取った都合上、仕事が入っている。響殿下が月に一度担当されていたテレビの広報を番組を、僕が引き継ぐことになったので、その打ち合わせのためである。
番組名は「H-K Time」で、各TV局が持ち回りで番組を構成し、毎月最終日曜日に放送されている。毎回何かしらのテーマに基づく企画があり、合間に新しい制度や法律についても解説する。響殿下は、ゲストをお呼びになって対談をされたり、出張にカメラを同行させて仕事内容を紹介したりされていた。
とりあえず今回が、僕がホストを務める初回ということで、番組前半はすでに撮影済みの仕事風景を流すことに決まっている。一方、後半の王宮からの広報内容に関しては、タイムリーなネタを提供するというコンセプトのもと、これまでもギリギリに打ち合わせがなされていたそうだ。
「やはり、視聴者のみなさんの中にも、新生活を迎えられる方がいらっしゃると思うので、今回は特に新社会人に向けて、便利なサービスを紹介しようと思うのですが、いかがでしょうか？」
いくら僕が財務長官だからといって、いきなり税制や、公共事業の話をしても引かれてしまうのではないかと思う。
そして、いくつかピックアップしたサービスの中から、時間に収まるように取捨選択をしてもらう。
「こんなサービスがあるんですね。もっと早く知りたかったです」
テレビ局の方も若い人が多いので、興味を示してくれる。…同行している結城は口を挟んでこないので、これでOKだと思う。
そして、収録するセットの図案を見せてもらったり、衣装のことを打ち合わせしたりして終了。頑張るぞ。
帰りの車へ向かう途中で、僕も知っている俳優さんとすれ違った。そういえば、兼古先輩もそろそろ撮影に入るって言ってた気がする。今後はこうやって、テレビ局とか公の場で会うこともあるのかな。兼古先輩の芝居を早く見てみたい。