5/12 (金) 22:00 求め合う心

「明日、大丈夫だよな」

・・・その言い方は・・・ないんじゃない?

「キャンセルしてくるのはいつも祐輔のほうじゃない」

「だからもう懲りて、来てくれないんじゃないかと心配になって」

・・・そういうことね。

スキャンダルは命取りになると、付き合っていることは内緒にしてほしいと言われ、その上約束はかなりの割合でキャンセルされている。でもその度にますます会いたくなって、好きなんだって気づかされる。以前は会いたいって言わなくてもいつも側にいてくれたのに、今では立場が逆転しているみたい。

テレビや雑誌は欠かさずチェックしている。少しずつだけど注目の度合いが増えているところを見ると、嬉しい反面、寂しい気持ちにもなる。今まで知らなかった表情を見せる時がある。・・・外見からして違う、髪だって伸ばしているし、スーツを着ていたりもする。そんな風に祐輔はどんどん変わっていくのに、私はこのままでいいのだろうか?焦る気持ちも芽生えてくる。

「やっぱり、美智に祝ってもらいたいから」

よかった。私をこんなに心細くさせているんだから、その埋め合わせはしっかりしなさいよ!・・・って以前なら思っただろうに、今は弱気になっている自分がいる。純粋に嬉しい。

「何がほしい?」

いつも聞くことにしている。本当はもっと前に聞いておきたかったんだけど、ギリギリになっちゃったね。でもちゃんと探してくるから。

「一緒にいれればそれでいい。それが一番嬉しい」

「祐輔・・・」

そんなこと言ったの初めてだよ。しかも、儚い、消え入りそうな声で・・・。どんな顔をして言ってるのよ、会いたくてたまらなくなるじゃない。

「分かったよ。精一杯お祝いしてあげるからね」

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