放課後、部活の時間。ついに台本の決定稿が配られた。今まで一年生を交えてストーリー展開、演出について練りに練った結果がこれ。私たちにとっては「新」だけど、一応タイトルはそのまま「校則ゼロ革命」で、全国大会連覇を狙うのです!!
だんだん演劇部としての自覚が芽生えてきたし、今回もこうして、台本作成に当たってはいつも中心的なグループに入れてもらえたことが本当に嬉しい。ここしばらく、たくさんの舞台や映画を見て、たくさんのアイディアを生み出すことが出来たと思う。そしてみんなが納得してくれていくつかは採用してくれることになったから、いつも以上に思い入れは深い。
部としてもかなりまとまって、一年生とも息が合うようになって来た。吉岡くんのことも、特別意識はしていない。・・・多分希がそうさせないようにしてくれているのだと思うけど。吉岡くん自身もやっぱり確かな演技力で頼もしくなっているし、すっかり溶け込んでいる。本当のことを言うと、今後、相手役になったりするのかな?と考えてしまうことがある。それはそれで、今でも憂鬱な気分にはなる。
「じゃあ、このシーンを通してやってみましょう」
はい。位置につく。舞台上の人数が多いということは、周りとのバランスが難しい。でしゃばり過ぎないように、でも存在感は忘れないように。
吉岡くんが一つためいきをついた。朝霧先輩は同じ三年の先輩と細かい打ち合わせをしている。希は・・・私のほうをチラッと見て目で頷いた。
うん。頑張んなきゃ。三年の先輩方を優勝で送り出してあげたいから、そしてもちろん自分たちのためにも。
「はい、用意スタート」
私も小さく深呼吸をして、中央へ足を踏み出した。
まずは再来週の地区予選から。絶対成功させるんだから!