その上品で淡い緑色の封筒を見つけたのは、朝ロッカーを開けた時だった。・・・というか、ロッカーには鍵がついているのに何故?と思ったのだが、薄い紙なら入らないことはない隙間が確かにある。 Continue reading “5/14 (木) 16:00 手紙”
5/13 (水) 16:00 待ち人
放課後。僕は生徒玄関近くの廊下で、朝霧と共に人を待っていた。
クリウスの校舎内は土足で大丈夫だが、ほとんどの生徒が車で送り迎えをしてもらうため、車停めにつながる玄関を利用するのが普通である。よって朝夕はその通称生徒玄関と呼ばれている玄関を通ることになるのだが、その先は学年ごとに校舎が分かれているため、他学年の生徒と会うことはあまりない。 Continue reading “5/13 (水) 16:00 待ち人”
5/12 (火) 16:45 価値
今日の部活では、台本の読み合わせが行われて、僕は清水先輩の隣で、その様子を見ている。
「そこは思い切り弾けて」
「そこはもう少しかわいく」 Continue reading “5/12 (火) 16:45 価値”
5/11 (月) 22:30 夢見る乙女
「ゴメン、来週の晩餐会に出席させていただくことになったから、しばらく帰れなくなりそうなんだ」
夜。沢渡家のリビングにて。 Continue reading “5/11 (月) 22:30 夢見る乙女”
5/10 (日) 0:30 月夜
結局昨夜は、殿下、結城さんと沢渡の前で、30分ほど演奏することになった。僕としては沢渡の様子を伺うことよりも、まずは演奏に集中した。
「朝霧くん、よかったよ。・・・それにしても、君は何て楽しそうに弾くのだろう?きっといい演奏家になるよ」 Continue reading “5/10 (日) 0:30 月夜”
5/9 (土) 20:00 心配
土曜日。沢渡は同じ宮殿の中にいるはずだけど、彼には仕事がある。・・・傷心のまま難題に取り組んでいるのだろうか?・・・物理的には近くにいるのに、今の僕には遠くに感じられる。 Continue reading “5/9 (土) 20:00 心配”
5/8 (金) 17:30 かける言葉が見つからない
しかしまた不可解なことが起こった。コンクールに向けてのキャストが発表されたのだけど、僕には台詞付きの役が当たったのに、沢渡は裏方に回ることになったのだ。上柳さんももちろん台詞付きの役だ、なのに沢渡は何故?・・・部長からは、名前の発表があっただけで理由の説明はなかった。 Continue reading “5/8 (金) 17:30 かける言葉が見つからない”
5/7 (木) 8:30 真相
5/6 (水) 22:00 音色
その日のヴァイオリンの音色を聴くと、僕自身の体調や精神状態が分かる。
沢渡からのお願いのため昼間は学校に行かなければならないので、まずは朝、少々早起きをして楽器と身体のウォーミングアップをする。そして夕方、もしくは夜宮殿に帰ってきてからは、先生のレッスンを受け、終わってからも自分なりに復習する。 Continue reading “5/6 (水) 22:00 音色”
5/5 (火) 22:30 友達
僕は小さい頃からヴァイオリンを習っていて、すでに小学生の時にはいくつもの賞を獲得していた。そんなときに王宮から招宮通知をいただき、そのまま入宮することになった。 Continue reading “5/5 (火) 22:30 友達”