5/8 (金) 17:30 かける言葉が見つからない

しかしまた不可解なことが起こった。コンクールに向けてのキャストが発表されたのだけど、僕には台詞付きの役が当たったのに、沢渡は裏方に回ることになったのだ。上柳さんももちろん台詞付きの役だ、なのに沢渡は何故?・・・部長からは、名前の発表があっただけで理由の説明はなかった。 Continue reading “5/8 (金) 17:30 かける言葉が見つからない”

5/6 (水) 22:00 音色

その日のヴァイオリンの音色を聴くと、僕自身の体調や精神状態が分かる。

沢渡からのお願いのため昼間は学校に行かなければならないので、まずは朝、少々早起きをして楽器と身体のウォーミングアップをする。そして夕方、もしくは夜宮殿に帰ってきてからは、先生のレッスンを受け、終わってからも自分なりに復習する。 Continue reading “5/6 (水) 22:00 音色”

5/3 (日) 1:50 好きという気持ち

そもそも僕は有紗さんのことが好きなのだろうか?と一人ベッドの中で考えてみる。一応今では秘密の恋人ということになっているらしいが、もともとは有紗さんからのアプローチによるもので、僕としては拒む理由がなかったからこうなっただけだ。かと言って、この気持ちは、好き、なのか? Continue reading “5/3 (日) 1:50 好きという気持ち”

5/1 (金) 14:30 様子

クリウスでは遠足に好きな目的地を選べるそうで、僕は朝霧と古都の名跡を歩くコースを選んだ。希望調査は早い時期にあったのでよく分からなかったのだけど、たまたま上柳さんも一緒のコースになったようだ。昨日兼古先輩から言われたようにあまり近づき過ぎないように、でも、どうも彼女の様子が昨日までとは違う気がする。・・・遠足なのだから楽しいはずなのに笑顔を見せない。それに僕のことを少しも見ようとしない。まさか、兼古先輩が彼女にも何か言ったわけではないと思うのだけど。 Continue reading “5/1 (金) 14:30 様子”