4/24 (日) 19:30 感じる食事

「まったく響のヤツは、今までの俺たちの苦労を水の泡にしてくれやがって・・・」

もういいよ、それは。昨日は殿下が散々謝ってくださり、その後には殿下と結城による大人気ない口論が果てしなく続いたのだった・・・。僕としては、隠し事をしなくていいということは、気が楽でいいことだと思うのだけど・・・。

「いつまでもしつこいと、僕に嫌われるよ」 Continue reading “4/24 (日) 19:30 感じる食事”

4/23 (土) 1:00 質問

部長のお母さまへの挨拶が終わると、僕はそのまま部長のお宅へ連れて行かれた。

「え~!次期皇太子!って言うか、入宮って、高校を卒業しないとできないんじゃないの?」

「普通はそうなんですけど、僕は実験的に幼稚園卒園と共に招宮されて教育を受けてきました。ただ僕には実社会での経験が乏しかったので、陛下にお願いして普通の高校に入学させていただいたのです」

「じゃあ、高校の授業なんて退屈なんじゃないのか?」

「いえ、僕には何もかもが新鮮で、とても楽しいですよ。それに唯一ゆっくりできる時間ですしね」

「ということは研修に忙しいの?」

「いえ、仕事もさせていただいています。今年度の予算案の作成にも携わらせていただきましたし、晩餐会にも出席させていただいています」

「ということは・・・、俺の親父にも会ったことあるわけ?」

「はい、何度かお目にかかってお話しさせていただいていますが、僕が何者なのかはご存じないみたいですよ。・・・息子の作品をご覧にならないのですか?」

「ウチの親父に言っても無駄だよ。そんなことに現を抜かしてって感じで、端から取り合う気なんてないんだ」

「そうなんですか。・・・去年の全国大会には、殿下だけでなく両陛下も見に来てくださったのに」

「え~!ということは、陛下も私たちのことをご存知なの?」

「はい、もちろんです。文化祭のDVDもご覧いただきましたし、今年のコンクールも楽しみにしてくださっていますよ」

「本当かよ。これはしっかりしたものを作らないと・・・。そうか、朝霧は楽士だって言ってたよな」

「はい、彼はヴァイオリンの楽士です。彼も特別に小学校卒業後に入宮して、僕の友人になってくれました。それをいいことに演劇にまで付き合わせてしまって、本当は申し訳ないんですけどね」

「これで話がすべてつながったな・・・。それはそうと、これまでに誰かに話したのか?」

「行きがかり上、望月先輩に。そして、上柳さんにも」

「そうなのか」

「でも僕は、学校にいる間はできるだけ普通の高校生でいたいのです。先輩方はこれまで僕の素性を探らず、ありのままの僕を受け止めてくれました。そのことには本当に感謝しています。そしてこれからもよろしくお願いします」

4/22 (金) 22:30 遭遇

今日は、部員全員で部長のお母さま原作の舞台作品を観に行くことになった。一旦着替えてから劇場に集まると、すでに1年生は全員集まっていたが、・・・川端さんは一人でポツンとたたずんでいることに気がついた。オーディションのときの迫力とは大違いで、普段の彼女はおとなしく控えめな女の子のようだ。でもここで声をかけたりしたら、去年の二の舞になりかねない。

「朝霧、彼女に声をかけてきてあげて」

僕にはそれが精一杯だ。 Continue reading “4/22 (金) 22:30 遭遇”

4/21 (木) 17:30 配役

でも僕たちの心配は取り越し苦労に終わった。1年生たちはいつの間にか結束を固めていて、演じたい作品の脚本を持ってきたのだ。しかも有名な戯曲の・・・。石井が持ってきた瞬間、2年生の面々は顔を見合わせて微笑み合った。ということでせっせと打ち合わせを進めて・・・。

部活の終わりに、僕と朝霧は部長に呼ばれた。

「コンクールの脚本が仕上がりつつあるのよ。だから二人には役作りに励んでもらおうと思って」 Continue reading “4/21 (木) 17:30 配役”

4/20 (水) 17:30 作戦会議

3年生は来週修学旅行に行く。その間、去年同様、1、2年はビデオドラマを撮影することになり打ち合わせを重ねているが、今年の1年生は粒が小さい感じがする。

1年生のリーダーは、経験者であるという石井。だけど彼は役者で、脚本を書く者がいない。よって名作か過去の作品から選んで演じることになったのだが・・・、2年生が口出し過ぎているのではないかと心配だ。 Continue reading “4/20 (水) 17:30 作戦会議”

4/19 (火) 22:00 大人への階段

僕が入学してから最大の出来事といえば、兼古先輩と出逢えたことだと思う。先輩の気持ちがとても嬉しかった。でもそれだけに、本心から先輩と話せないことに申し訳なさを感じるようになっている。昨日も「どうしてそこまで写真が嫌いなんだ?」と聞かれたとき、本当の事情は言えなかった。もちろん、適当に取り繕えばそれで済むことなのだけど、良心が痛む。このやり場のない感情は何処に向ければいい? Continue reading “4/19 (火) 22:00 大人への階段”

4/17 (日) 1:00 自覚症状

結局、有紗さんは僕のことなんてどうでもいいのか?

テレビを見ていたら、有紗さんが来国中のVIPと食事に行かれる様子が映し出されていた・・・聞いていない。

「どうして怒っているのかしら?高校生相手に嫉妬なんてしないでほしい、と言ってきたのは希のほうだったわね」 Continue reading “4/17 (日) 1:00 自覚症状”

4/16 (土) 19:00 考えてしまうのは・・・

あれからドキドキが止まらない。

「いいなぁ~、深雪は沢渡先輩と共演できて。・・・しかもホントに付き合ってる二人に見えた」

一番驚いたのは、あの瞬間すっかりその世界に入り込んでしまったこと。確かに緊張はしていたけど、臨機応変に対応できたと思う。・・・明るくサヨナラするつもりが、何故とってもシリアスになってしまったのかはよく分からないけど、あんな瞳で見つめられたら私のほうまで悲しくなってしまって、演技が終わってもしばらく涙が止まらなくなってしまった。 Continue reading “4/16 (土) 19:00 考えてしまうのは・・・”

4/15 (金) 16:00 オーディション

集まった1年生たちはまず男女に分かれてくじ引きをし、ペアを作った。しかし女子のほうが多かったので、余った子たちは2年の先輩と一緒に演じることになった。

男女間の別れのシーン。昨日からいろいろとシミュレーションをしてみたのだけどどうもいい案が浮ばず、くじ引きでは後のほうになったこともあったので、他の人の演技を参考にすることにした。・・・ただし相手は、2年の先輩というだけでまだ分からない。 Continue reading “4/15 (金) 16:00 オーディション”