大企業の社長の二人息子はお互い仲が良く、将来は会社を継ぐために勉強を続けていた。しかし弟は、法学部に進学し家を出たいと言い出した。実は二人が腹違いの兄弟であることを弟は知っていたが、兄は知らなかった。
「でもだからと言って、家を出なくてもいいんじゃないか?」
「・・・この家で生活することには、もう耐えられません。僕は、あなたのお母さんには歓迎されていないのですから」 Continue reading “4/14 (木) 17:00 新入生歓迎会”
小説の部屋
大企業の社長の二人息子はお互い仲が良く、将来は会社を継ぐために勉強を続けていた。しかし弟は、法学部に進学し家を出たいと言い出した。実は二人が腹違いの兄弟であることを弟は知っていたが、兄は知らなかった。
「でもだからと言って、家を出なくてもいいんじゃないか?」
「・・・この家で生活することには、もう耐えられません。僕は、あなたのお母さんには歓迎されていないのですから」 Continue reading “4/14 (木) 17:00 新入生歓迎会”
でも若菜のほうは、積極的に情報を集めて私のことを構ってくれる。・・・今日は昨日とは違う学食で、
「兼古先輩って演劇部なんだって。それで去年は全国大会で二位まで行ったっていうから、カッコイイだけじゃなくて、実力も相当なものみたい。ただね・・・その演劇部の部長っていうのが兼古先輩の彼女らしいの。・・・凄く大人っぽくて綺麗な人なんだって」 Continue reading “4/13 (水) 16:00 情報収集”
そして今日から授業が始まった。実は昨日までは、授業のことよりもお昼ごはんを誰と食べたらいいのかで悩んでいたのだけど、後藤さんがいてくれてよかった。
「いいよ、若菜って呼んで。私も深雪って呼ぶね」
う、うん・・・。こんなにあっけらかんとしている友達は、私には初めてかな。学食は、先輩方がたくさんいるからやめようと言ったのだけど、何事も冒険だよ、と引っ張り出されてしまった。 Continue reading “4/12 (火) 14:00 デビュー”
これからの高校生活には不安だらけ。親の希望でクリウスに入ってしまったら、案の定友達にはなれそうにない人たちばかり。それは入学式のときですら感じた。どの人もお高くとまっていて、派手なメイク、アクセサリー、そしてむせ返るような香水の香りがする。こんな自己主張が強い人たちの間でやっていけるのか、とても心配・・・。 Continue reading “4/11 (月) 10:30 始業式”
午前中に殿下への申し伝えをして、昼食は結城も交えた三人でとり、午後は兼古先輩、部長と共に新入生歓迎会の衣装を買いに行くことになった。
「折角兄弟役なのだから、お互いに意識しあった衣装がいいかと思って」
確かにそれは言えていると思った。僕が演じる弟は、いつも兄の背中を見て過ごしている。しかし、実は本当の兄弟ではない・・・。 Continue reading “4/10 (日) 14:30 外出”
一旦リラックスしたら身体も疲れることを思い出したのか、今日は部屋に帰ってくるなりソファーに横になってしまった。
「沢渡さん、お風呂が沸いておりますが・・・」
「う~ん、あと」
とりあえず眠くて眠くて仕方がない。これは、先ほど殿下が帰っていらしたという、精神的なゆとりからも生まれているのだと思う。今は少し眠りたい・・・。 Continue reading “4/9 (土) 23:00 待遇”
そうか・・・。朝霧のことは心配だけど、今は自分のことで精一杯だし・・・、兼古先輩との約束もまだ果たせていないし・・・。そう、兼古先輩は生徒会長ということでとても忙しいらしい。部活にも途中から参加したり、途中で抜けたり。どうせ兼古先輩がいないことには演技シーンの練習が出来ないので、便乗して休もうかとも思ったのだけど、結城がそれを許さない。・・・必要な時は呼ぶから、と。 Continue reading “4/8 (金) 23:30 緊張の糸”
「ねえ、宿題が全然終わらないんだけど、どうしたらいい?」
朝霧と来たら・・・。どうしたらいい?と聞かれても、やるしかないんじゃないのか?
「そう冷たいことを言わないで。ヴァイオリンを弾かせていただきますから」 Continue reading “4/7 (木) 22:30 お願い”
今日は宮殿で、新政府の方々を集めた夕食会が行われる。
「いいか、酒は飲むなよ。お前の場合、何をやらかすか分からないから」
いきなり結城から釘を刺されてしまった。・・・年齢のことを別に隠したりはしていないが、紹介もされなかった。一応成人に見えなくもないので・・・というか、大体年よりは上に見られることが多いので平気だとは思うのだけど、それよりも僕がお酒に弱いことを心配しているらしい。 Continue reading “4/6 (水) 18:00 夕食会”
殿下がいらっしゃらないということで緊張しているのは、加藤も同じようで。夜、僕を部屋に送り届けると、珍しくためいきをついた。
「申し訳ございません。私の仕事はまだ終わっておりませんのに」
「加藤も、側近としての評価が出るの?」 Continue reading “4/5 (火) 23:00 内輪話”