夜の楽しみとなったフリートーク会も最終日なのだけど、今夜は沢渡の一言から始まった。
「朝霧は家族と仲がいい?」 Continue reading “5/6 (土) 1:00 理想の家族像”

小説の部屋
「なんかおかしいんだよな~」
沢渡は朝からずっと口にしていた。観光地を回りながらも、時計を気にしてはメールを書き、お昼に電話したのにまた夕方にかけていた。さすがの僕も呆れていたけど、外では聞くことが出来ず、ホテルに着いてから聞いてみた。 Continue reading “5/5 (金) 1:00 恋の行方”
昼間の観光はもちろんメインだけど、みんなにとっては夜のほうが楽しみだったりするようだ。友人たちは一斉に僕たちの部屋に押しかけてきて、たくさん話したり、ミニコンサートみたいになったり。・・・僕は常にヴァイオリンを持参しているし、部屋にピアノがあったからだ。 Continue reading “5/4 (木) 1:00 進路調査書その3”
まだ友達も出来てない段階で、行き先を選ばざるを得なかったから、クラスメートとは離れ離れ。気づいたら、演劇部一年組は固まって行動していた。ハイキングなんていうと聞こえがいいけど、辺りは木々ばかりで空も狭い、景色はとんと変わらなくて、みんなそれぞれ会話することに楽しさを見出しているようだ。 Continue reading “5/3 (水) 17:30 遠足”
今日から修学旅行・・・なのに落ち着かないよ。宿泊先のホテルはスウィートルーム・・・は、さすがに学生にはふさわしくないということで断ったそうだけど、それでもジュニアスウィート。しかもこんなに広い部屋なのに一人きり・・・。沢渡はとある地方都市で今日まで会議があって、終わり次第来るそうなんだけど、もうしばらくしたら日付けが変わってしまう。 Continue reading “5/2 (火) 23:30 激務の果てに・・・”
そもそもクリウスに入学しようと思ったのは、演劇部のレベルが高いと聞いていたからだ。中学の時に演劇に魅せられて、顧問の先生や先輩と相談したりしていたけど、全国大会の模様をテレビで見たことが決定打になった。 Continue reading “5/1 (月) 18:00 期待とその現実”
4.01 (土) 9:30 入宮式の前に
4.02 (日) 19:00 家庭教師の時間
4.03 (月) 23:00 春休みの憂鬱
4.04 (火) 19:00 移動の車内で
4.05 (水) 9:00 散歩道
4.06 (木) 11:00 始まりだというのに
4.07 (金) 22:00 夜の電話
4.08 (土) 21:30 世界で一番怖いヒト
4.09 ( 日) 21:00 切なさをかみしめながら・・・
4.10 (月) 14:00 クラス分け
4.11 (火) 23:00 ねえ、バレちゃうよ
4.12 (水) 23:00 夢の世界への誘い
4.13 (木) 14:00 不安定な心
4.13 (木) 14:00 昨夜の出来事
4.14 (金) 12:30 普通の恋人たち
4.15 (土) 18:00 右手に光るブレスレット
4.16 (日) 14:00 社会のルール
4.17 (月) 8:30 朝の挨拶
4.18 (火) 17:00 君がいない
4.19 (水) 21:00 テレビ局の廊下で
4.20 (木) 14:00 進路調査書
4.21 (金) 17:00 油断ならない男、出現
4.22 (土) 2:00 障害
4.23 (日) 21:30 進路調査書その2
4.24 (月) 18:00 初顔合わせ
4.25 (火) 15:30 ラストスパート
4.26 (水) 23:00 たった一人の兄
4.27 (木) 13:00 母
4.28 (金) 22:00 水面下での闘い
4.29 (土) 18:00 若さ
4.30 (日) 「H-K Time」
「H-K Time」は、もともとホーンスタッド国民のために、王宮ならびに政府が、政策を分かりやすく伝える短い情報番組だった。しかし、響殿下や沢渡殿下が出演されて、国内の著名人と対談したり、国民にスポットを当てたりするようになってからは、視聴率もうなぎのぼりの人気番組になっている。現在では毎月最終日曜日の21:00から30分間、国内の企業の活性化も狙って、国営放送だけでなく民放テレビ局も含めて、持ち回りで放送されている。 Continue reading “4/30 (日) 21:00 「H-K Time」”
「沢渡くん。君を見ていると、つくづくその若さがうらやましくなるよ。随分と密度の濃い時間の過ごし方をしているようだね」
陛下の住居がある、いつもとは別の塔で、宮殿の幾何学的でスタイリッシュな全景を見下ろしながら、陛下と沢渡の三人で夕食を共にしている。日が落ちて照明が入ると、各部屋や通路から間接的に光が漏れ、それはそれは幻想的な趣きになる。しかし、テーブルに置かれた、ほのかなろうそく越しに浮かび上がる陛下のお顔は、疲れを隠せないご様子だ。
「お陰さまで、毎日、これ以上ないというほど充実しております。この機会を与えてくださった陛下には、感謝してもしきれません」
一方の沢渡は、陛下がおっしゃるように、俺も時々うらやましくなるくらい元気だ。今日も、昼の休憩にさっと抜け出して、深雪ちゃんに会ってきたらしい。ここ数日多分あんまり寝てないだろうに、どこからそのエネルギーが湧いてくるのか、加藤はほとほと困り果てているらしい。
「一つ陛下に申し上げておきたいことがあるのですが、よろしいでしょうか?」
陛下は、言ってみなさい、と、一旦手をお休めになり、沢渡は建築を学びたいという意思をはっきりと申し上げた。もはやこれは決定事項であると言わんばかりの自信に満ち溢れ、人生の楽しみとして学び続けたいと、目を輝かせていた。
そうだよな~、この仕事をしていれば、世界各国のいろいろな建築物に実際に触れることができる。建築家と話すことも出来るだろう。俺はその方面にはあまり詳しくないから分からないけれど、何にしても息抜きは必要だ。陛下は読書、俺はドライブ、・・・沢渡は今は学校で息抜きしているのだろうが、これから長く付き合っていける趣味を見つけることは不可欠だ・・・と俺が教える必要はなかった、か。
「この会議が終われば修学旅行だね、・・・ゆっくり楽しんできなさい。それとも・・・楽しめないか?」
「またご冗談を」
と沢渡は返したが、・・・楽しめないんだろうな、きっと。どうなることか。
希は明日から会議があるとかで、資料集めに忙しいらしい。今日は学校を休んでいたし、明日の夜もキャンセル。そしてその会議が終わったらその足で修学旅行に行ってしまうそうで、これからある演劇鑑賞で会ったあとは・・・毎月最終日曜日に希が司会を務める国民のための番組「H-K Time」はあるけど、一週間も会えないことになる。しかも間際にこっそり入ってくるからと、こうして待ち合わせ場所に向かっていてもつまらない。 Continue reading “4/28 (金) 22:00 水面下での闘い”